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お知らせ

 

下記内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(サービスの変更、組織変更など)がありますのでご了承ください。

IGAS2015 FFGSセミナーレポート
労働安全衛生法改正 いま、印刷業界に求められるリスク管理とは?

2015年12月7日

富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社

9月11日から16日にかけて開催された『IGAS2015』において、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(代表取締役社長:真茅 久則、以下FFGS)は、展示会場でのソリューション紹介に加え、印刷業界の最新トピックスをより深く掘り下げて解説するFFGSセミナーを開講した。本稿では、9月11日・14日開催の「労働安全衛生法改正 いま、印刷業界に求められるリスク管理とは?」の概要を紹介する。

このセミナーは3部で構成。第1部では、一般社団法人日本印刷産業連合会 環境安全部部長・石井健三氏が講演。第2部で講師を務めたのは、厚生労働省から「ラベル・SDS活用事業」の委託を受けているコンサルティング会社、テクノヒル株式会社。11日は、化学物質管理部門の林譲氏が、14日は代表取締役の鈴木一行氏が登壇した。第3部では、FFGS技術一部・板倉良介が、印刷薬品における製品改良・情報提供などの取り組みについて紹介した。

[写真]

■「オフセット印刷工場の有機溶剤管理」~印刷事業所が社員の健康を守るために~

―― 一般社団法人日本印刷産業連合会 環境安全部 部長 石井 健三 氏

[写真]一般社団法人日本印刷産業連合会 環境安全部 部長 石井 健三 氏

私たち日本印刷産業連合会(日印産連)は、印刷業界全体の化学物質管理の徹底を図るべく、労働衛生協議会を設置し、さまざまな活動を行なってきた。本日はその活動を紹介させていただく。

▽健康障害を防止するための取り組み

2012年、大阪の印刷会社での胆管がん発症問題を踏まえ、化学物質の取り扱い方法の見直しに着手した。会員団体にアンケート調査を行なったところ、約70%の会社で、労働安全衛生法(労安法)などの法令に則った対応が、十分にされていなかった。

これを受けて、日印産連では同年10月に『健康障害防止対策基本方針』を策定した。ここには、「労働衛生関連の法令について理解を深め、これを守ること」「より有害性の低い洗浄剤などを使用すること」「これらの活動を継続して健康障害防止対策を進めていくこと」の3点を盛り込んでいる。

さらに、パンフレット『印刷事業者における化学物質による健康障害防止対策のポイント』を作成し、安全データシートの読み方や、印刷事業者様の立場から見た有機則対応の具体的な進め方などをまとめた。パンフレットはWebサイトにも掲載している。

また、『オフセット印刷工場の有機溶剤管理』というパンフレットには、有機溶剤の混合蒸気;VOC(=揮発性有機化合物)の発生メカニズムや、VOCばく露の対策フローをまとめた。

VOCの発生源となるのは、オフセット印刷工場の場合、インキ、湿し水、洗浄剤などだ。これらの資材から発生するVOCによる健康被害を防ぐために、衛生管理が必要である。具体的な対策としてこのパンフレットでは、有害性を低くする(有害性の低い資材を選択する)、遮断する(缶・容器・ウエスなどをフタなどで密封する)、VOC高濃度の環境をなくす(使用量を減らす・飛散の少ない使用法に改善する、換気や気流を改善する)、作業者の体に入らないようにする(呼吸用の保護具を使用する)などを挙げている。このようなものを参考に、VOCのばく露について、各社での対応を考えていただきたい。

▽VOC発生プロセスの解明

日印産連の加盟団体にはオフセット印刷の事業者が最も多い。そこで、オフセット印刷の事業場を対象に、実際にVOCはどのくらい発生しているのか、協議会の活動としてさまざまな方法で測定を行なった (*1)。中央労働災害防止協会の協力のもと、5つの事業場でVOCの濃度変化について連続測定を実施したところ、定常印刷時にはほとんど発生はないが、インキローラー洗浄時に特異的に濃度が高くなっていることがわかった。高濃度になるのは10分間程度の短時間である。また測定場所によってもVOC濃度が大きく異なり、特にインキングユニットの上方部では、その他の場所(印刷機のユニット横、デリバリー部、機械から少し離れた部屋の中央部)に比べて10倍ほど濃度が高くなっていることがわかった。 4色印刷機で4胴を同時に洗浄した場合には最大1,000ppmにも達していた。

その時のVOCの発散の具合を、サーモグラフィで撮影した映像を見ると、枚葉4色機のインキローラーの自動洗浄中、インキングユニットからカゲロウのような形でVOCが揮発し、表に出ているのが確認できた。VOCは空気より重いので床の方へ下降すると思われていたが、ローラーの回転や熱が加わることで、天井へ向かって上昇していることが観察できた。換気扇やクーラーがあると、VOCを含んだ空気が巻きこまれ、それがまた上から吹き下げられて、室内全体に拡散していくことがわかってきた。

ローラー洗浄の際には、最後にスキージーで洗浄剤とインキが一緒になったものを取り除く。ドクターの受け皿(ドクターブレード)も洗浄する。この時が、オペレーターがVOCにばく露しやすい状況であり、対策が必要だ。たとえば専用のブースや、空気の流れを考えて飛散の少ないところで作業を進めていただくことが肝要だ。ほかにも全体の空気が流れる方向を、人間のいる側(マンサイド)から機械のある側(ギアサイド)へ向ける、印刷ユニットのある場所に局所排気装置を設置するといった対策も考えられる。

▽VOC警報器の開発

このようにVOCは、洗浄時の短時間に高濃度で発生することがわかってきた。そこで、日印産連では、VOC濃度が上昇した場合に警報を発する警報器を開発した。ノナン換算で200ppmを超える測定値の時に警報が鳴る設定にしている。ノナンは許容濃度が200ppmであることと、炭化水素系の洗浄剤全体の中央値的な物質であり、モデル化合物として使えると考えており、この設定にしている。

試作機のフィールドテストを、5つの事業場の協力を得て実施。インキングユニット上方、オペレーターが待機することが多いデリバリ部、部屋の中央、の3か所にVOC警報器とデータロガーを設置し、3か月間にわたりVOCの発生量を観測した。

その結果、警報器が鳴るほど濃度が上昇したのはインキングユニット上方のみで、1日1回から2回だった。部屋の中央やデリバリ部では、濃度は上昇するが警報が鳴ることはなかった。対象工場は日勤職場なので、終業前のインキローラー洗浄時に警報が鳴ることが多かった。また、色替えの際にも警報が鳴っていた。

そこで、たとえばローラー上の警報器が鳴っていた場合に、鳴っていないエリアへ移動するとか、その場所でどうしても作業が必要な場合は、呼吸用保護マスクを使っていただくとか、そういう活用ができるのではないかと考えている。

VOC警報器は、電源ランプ兼警報ランプとセンサーでできており、有機溶剤に反応して警報を発する。外部機器との連動も可能なので、パトライトを回転させることや、PCと接続して警報発令の開始時刻・終了時刻を記録すれば、作業条件と照らし合わせて原因を突き止めることもできると考えている。

■改正労働安全衛生法の概要とリスクアセスメント

―― テクノヒル株式会社 化学物質管理部門 林 譲 氏

[写真]テクノヒル株式会社 化学物質管理部門 林 譲 氏

リスクアセスメントはすべての産業で義務付けられることになるが、いまの石井部長のお話を聞いて、印刷産業ではかなり進んだ取り組みをしていらっしゃるという印象を受けた。リスクアセスメントでは、作業環境濃度を測ることが最も重要だ。しかしこれは非常に難しいので、いま、私どもは「コントロールバンディング」という方法を基に管理方法を見直していただく形をお勧めしている。今日はその話をさせていただく。

▽健康安全確保のために、化学物質の管理強化を目指す

厚生労働省の統計によると、化学物質による事故は年間だいたい500件起きており、約半分は有害物によるものだ。年間200人くらいの方が疾病にかかり、4日間以上の治療を要したという統計が出ている。

事故を防ぐため、化学物質に対する要求事項としては、現行では「ラベル表示義務」と「SDS(安全データシート)交付義務」の2項目が定められている。約6万ある化学物質のうち、現行では「ラベル表示義務」の対象は約100物質、「SDS交付義務」の対象は640物質に過ぎない。

今回の改正で、まず、「ラベル表示義務」の対象が640物質まで拡大された。そして、「リスクアセスメント」も、この640物質に対して義務付けられた。これらの義務は全産業に課せられることになる。

なお、来年6月の改正法施行時期までは「リスクアセスメント」は努力義務であるが、指針において推奨されている。労働基準監督署の査察はすでに始まっているが、リスクアセスメントの準備状況を問われることがあると聞いているので、対応しておくことが好ましい。

▽化学物質のリスクのとらえ方

化学物質はすべて有害であるという前提がある。単純な例としては、砂糖も化学物質であり、非常に大量に摂ったら、糖尿病になるリスクなどの害がある。すなわち、規制対象の化学物質でも、それに晒される(ばく露)量が少なければ、リスクは小さくなる。一方で、有害性が低い物質でも、毎日ばく露があれば、リスクは大きくなる。そういった観点でリスクは管理すべきである。

労安法でリスクアセスメントの対象となっているリスクには、3種類ある。1つは「物理化学的危険性」で、引火性・爆発性などがこれにあたる。残る2つは、「健康有害性」のうち、頭痛やアレルギーといった「急性障害」を起こすものと、肝臓や肺などのガンや、妊娠出産に関する異常といった「遅発性障害(慢性障害)」を引き起こすものである。

一番問題となるのは、長期のばく露によって、後になって障害が出てくる、遅発性障害をもたらすものだ。先ほど話のあった胆管がんのケースもこれに該当する。これを避けるべく、今回の法律が改正されたと考えていただければいいと思う。

とくに、健康有害性をもたらす化学物質については、主なリスクアセスメントの方法でリスクを予測して、対処することになる。

▽リスクアセスメント実践の流れ

リスクアセスメントでは、まず適用対象を選定したら、事業者が実施すべき準備として、SDSや仕様書、作業標準書などの情報をそろえることになる。実施体制についても、今回の改正において詳細に規定された。とくに重要なのは、事業者の責任が明確になっている点だ。実施時期は、来年6月以降に新規に化学物質を採用する際や、作業手順を変更するとき、新しい知見が得られたときとなっており、従来から継続使用していて変更のないものに関しては、条文上では義務化ではないと読める。しかし労基署の査察時には条文解釈と異なる要求をされる可能性があり、懸念している。

リスクアセスメントのプロセスだが、まず使用している化学物質の危険有害性を特定する。簡単なのはSDSの情報を引用する方法だ。

次に、リスクの見積もりを実施。環境濃度の測定がベストだが、ほかの方法で実施しても問題はない。法律上では、方法は定められておらず、事業場に最適な方法を選んで実施することになっている。

リスクの見積もりを行なったら、それに対して低減措置を検討し、実施する。実は、実施については努力義務になっている。労基署の審査時にどう判断されるかは明言できないが、御社内で検討のうえ、作業者の方に「ここまでやれば大丈夫」と言える方法なら、それでも良いのではないかと思う。

リスクアセスメントの結果を労働者の方に周知をすることも重要だ。こちらは法律上の義務となっている。そのためには記録を残す必要がある。現行の法律でも、SDSを労働者の方が見えるように準備することになっているが、同様のことが求められていると考えてよい。

▽リスクの見積もり方法

リスクアセスメントの方法はいろいろある。繰り返すが、作業環境濃度を測定することが最良の方法だ。

一方で、シミュレーションによる代替も可能である。一般社団法人化学物質評価研究機構(CERI)が取り扱っている『ECETOC TRA』というシミュレーションソフトは、作業の種類ごとに、蒸発やばく露の様子をシミュレーションし、推定ばく露量と管理濃度を比較できる。対策による低減効果のシミュレーションもできる点が優れている。

同じソフトの日本語版が、『BIGDr』(ビッグドクター)という名前で、一般社団法人日本化学工業協会(JCIA、日化協)の会員企業向けに提供されている。日化協に加入している原料メーカーの紹介を受ければ、これを使うこともできる。

ほかに、定性的な方法もある。旧指針では「マトリックス法」、「数値化法」、「枝分かれ法」などが紹介されていたが、新たに「コントロールバンディング法」も紹介された。厚労省は「職場の安全サイト(*2)」で、コントロールバンディングのツール「リスクアセスメント実施支援システム(*3)」を提供している。

コントロールバンディングでは、「作業内容」、「化学物質の物理的形状」つまり粉体と液体のどちらであるか、そして取り扱う化学物質の量の3つからばく露のレベルを推定する。そしてばく露レベルと化学物質の有害性のランクから、リスクのレベルを見積もる。これに対して、対策シートを作成する。コントロールバンディングは、安全サイドの結果が出るが、「どのようなリスクがありうるか」の確認には適している。

リスクアセスメントに関して、私どもテクノヒルは厚生労働省から事業の委託を受けている。その一つが、電話による無料相談だ。SDSやラベルの読み方、あるいはコントロールバンディングについて何かご質問があれば、お電話でお問い合わせいただきたい。それでも解決しない場合は、専門家が御社に訪問して、リスクアセスメントを支援できる。

■FFGSの取り組み(製品改良と情報提供)

―― 富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社 技術一部 板倉 良介

[写真]富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社 技術一部 板倉 良介

▽FFGSの取り組みの背景と実施内容

日印産連が『健康障害防止対策 基本方針』を定めた後の平成25年(2013年)5月頃、印刷薬品メーカーに対しても要望が出された。有機則をはじめとする「重要法規 (*4)」に該当せず、より有害性の低い製品を開発してほしい、という内容だ。また、製品の有害性情報の提供や、SDS記載内容の充実・確実な提供についても、要望が出された。

これに従いFFGSでは、より有害性の低い製品への切り替え・改良を進めてきた。現在FFGSが販売する印刷関連薬品はすべて、重要法規非該当化を実現している。法規の非該当化を実現するだけなら、比較的簡単だが、従来製品同等の性能や高い作業性を維持したまま非該当化を達成するのは難しい。それを実現した印刷薬品が、『SUPERIA PRESSMAX』シリーズである。

昨年6月、労安法が改正されたことを受けFFGSでは、SDS表示義務の対象となる製品を削減する方向で製品改良に取り組んでいる。しかし、性能・作業性の維持を考慮して改良を進めていることもあり、残念ながら、改正後、対象製品として21品目が残ってしまった。対象製品をお使いの場合はリスクアセスメントが必要となるので、実施をお願いする。

また、リスクアセスメントに必要な情報の提供にも取り組んでいる。ラベル表示の改訂、SDS記載の改訂は改正労安法の規定に従って進めていく。また、SDSによる情報提供については、販売店さまにもご協力いただき、印刷会社のみなさまに確実に伝わるよう徹底している。Webサイトでも情報を公開している。また、当社製品の法規制該非状況や有害性情報、取り扱い時の注意事項などをまとめた資料を、お客さまに配布している。

▽富士フイルム製品のラベル・SDSの読み方

『SUPERIA PRESSMAX』シリーズの『FC-2』という洗浄剤製商品を例に、ラベルの読み方を説明したい。ボトル裏面のラベルを見ると、上から順に、GHSの注意喚起のマーク、JISで定められた危険有害性情報の要約、それから取り扱い時の注意について、記載がある。今回の改正で新たに対象物質となる成分が含まれる場合には、この下の「成分」欄に該当する成分名が記載される。来年6月を期限に、ラベルの改訂を進めている。

また、SDSからリスクアセスメント対象製品を見分けるには、15章の「適用法令」という欄が便利である。労安法該非状況の下の「通知対象物質」欄に成分名称が記載されてる製品は、リスクアセスメントが必要な製品である。現在のSDSではここだけに物質名が書かれているが、法改正への対応が完了すると、すぐ下の「表示対象物質」欄でも同様に成分名が確認できるようになるので、この欄を見て、対象製品かどうかを判断していただきたい。

FFGSは今後も、みなさまのリスク管理にさまざまな角度から協力していく。ご不明な点は担当営業にお問い合わせをお願いしたい。本格的な支援が必要な場合には、テクノヒルさんをはじめとする、化学物質リスク管理のコンサルティング会社にもご相談いただきたい。

  • *1 詳細な実験データは『平成25年度 労働安全衛生協議会 オフセット印刷工場の作業環境調査報告書』に掲載されており、日印産連Webサイトよりダウンロードが可能。http://www.jfpi.or.jp/topics_images/tpc125_161.pdf
  • *2 職場のあんぜんサイト(厚生労働省) http://anzeninfo.mhlw.go.jp/
  • *3 リスクアセスメント実施支援システム(厚生労働省) http://anzeninfo.mhlw.go.jp/ras/user/anzen/kag/ras_start.html
  • *4 ここでいう重要法規とは、「有機則」(有機溶剤中毒予防規則)、「特化則」(特定化学物質障害予防規則)、「がん原性指針」、「PRTR法」(化学物質排出把握管理促進法)の4法令を指す。
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