株式会社研文社
企業概要

大阪と東京(株式会社東京研文社)に拠点を置き、商業印刷物を中心に手掛ける総合印刷会社。1999年に大阪市内で初めてサーマルCTPを導入、2001年には日本で初めてパントン社からヘキサクローム技術の認定を受けるなど、最先端の設備や技術をいち早く採り入れ、他社との差別化を図ってきた。また、再生紙・大豆油インキの採用をはじめ、環境への取り組みも積極的に推進しており、すでに印刷工程における「IPA使用量ゼロ」も達成。さらに今春、CTP工程での現像液削減を図るべく、サーマル無処理CTPプレート「ET-S」を導入し、スピードの要求される小ロット印刷や本機校正を中心に運用を始めた。これにより、4月末にはクリオネマークの「ゴールドプラス」認証を取得している。
(2007年4月取材)
| 会社名 | 株式会社研文社 |
|---|---|
| 代表者 | 網野博 氏(取締役社長) |
| 創業 | 昭和21年5月 |
| 従業員数 | 148名 |
| 所在地 | 大阪府大阪市北区堂山町13-17(本社) |
![[写真]網野勝彦 氏](pack/images/index_img_02.jpg)
網野勝彦 氏
専務取締役
![[写真]佐藤昌雄 氏](pack/images/index_img_03.jpg)
佐藤昌雄 氏
情報システム室
室長
![[写真]三浦芳裕 氏](pack/images/index_img_04.jpg)
三浦芳裕 氏
情報システム室
グループリーダー
デジタルプリプレスディレクター
インタビュー
無処理CTPに着目した理由は?
網野専務
当社は、2002年に認証取得したISO14001に基づき、環境負荷低減に向けた取り組みを行なっています。これは、お客さまに安心・安全な印刷物をお届けするという経営方針の一環として推進しているものですが、取り組みを進めていく中で、社内的には、明確なコストダウン効果が表われてきました。そこで、コンプライアンスと同時に、「コスト面での競争力強化」のためにも、環境対応をさらに徹底していこうと。印刷工程では、使用薬品を環境配慮型製品に切り替えるなど、具体的な対策を進めていましたが、「刷版工程の環境対策」が大きな課題として残っていました。こうした中で、現像液を削減できる無処理CTPに大きな期待を持ったわけです。
佐藤室長
昨年、FFGSさんがプライベートショーで、薬品類まで含めたトータルな環境対応ソリューションとして無処理CTPを紹介されていたのを見て、いよいよ実用段階に来たことを確信しました。同時に、クリオネマークの認証制度もスタートしたので、そうした業界の流れにいち早く対応する意味でも、CTPの無処理化は重要だと考えました。
ET-Sの導入に至る経緯は?

網野専務
今年初め、導入から8年目を迎えていたプレートセッターを新機種に入れ替えることにしたんです。そこで、これを機に無処理版を導入しようということで、具体的な検討に入りました。新セッターは出力スピードがさらにアップしたサーマルCTPの最新鋭機なのですが、版材も、そのポテンシャルを充分に活かせるだけの性能を備えていなければなりません。3品種のプレートシステムを候補に挙げて検証を重ねたところ、セッターの高速性を損なわずに最も高い品質が得られたのが、ET-Sでした。これはやはり富士フイルムさんの技術力によるところが大きいのだと思います。
三浦リーダー
当社はPS版時代から富士フイルムさんの版材を使用しており、現在、通常処理タイプのCTPプレートも、HP-Fで統一しています。こうした実績による信頼感も、ET-S採用の決め手の一つになりました。
現時点での導入効果は?
網野専務
まだ導入から日が浅いので、「無処理化による直接的な効果」をデータで示せる段階ではありませんが、トータルで見た場合のコストダウンや生産性アップの効果は間違いなく出ていると思います。現像工程の省略によって「環境負荷・ランニングコストの低減」が図れたことはもちろんですが、今回、ET-Sの導入に合わせて工程全体の見直しも実施しており、このことも社内的に大きな効果をもたらしています。
たとえば、フィルムセッターを廃止して「100%CTP化」を達成することで、設備や人員配置の最適化が実現。さらに、検版の方法も根本的に変更しました。これは、刷版工程だけでなく、ワークフロー全体の効率アップ・品質向上につながっていると思います。
具体的に、検版方法の変更とは?
網野専務
機上現像方式のET-Sは、印刷機にかけるまで絵柄が見えづらいため、版面上での検版ができません。しかも、セッターの出力スピードもこれまでより格段に速くなっていますから、この段階での検版は生産性の面から見ても現実的ではない。そこで、これまでのように刷版工程を“最後の砦”とするのではなく、出力前に検版を確実に完了できるよう、プリプレス側の環境を全面的に更新したのです。つまり、使うプレートの種類にかかわらず、刷版工程では検版ができないという前提で作業を行なう。具体的には、PDFベースのワークフローに切り替えることで、文字化けなどのトラブルを回避しつつ、作業者全員が早い段階からチェックできる仕組みを確立したほか、プルーフ出力用のプリンターも、印刷物の種類に応じて使い分けられるよう充実させました。
佐藤室長
機上現像タイプの無処理版の場合、検版の問題がネックになって導入を躊躇されるケースも多いと聞きますが、当社は逆にそれを「前工程のレベルアップ」に結び付けていったわけです。


現場でのET-Sの評価は?

佐藤室長
プレート自体の取り扱いに関しては、従来版よりも慎重に行なっています。キズや汚れなどが版面上で確認しにくいので、とくに刷版室から別棟の印刷現場への運搬などはとくに気を遣いますし、色版の判別にも少し慣れが必要ですね。ただ、印刷適性や調子再現に関しては、基本的にHP-Fと変わらず、いままで通りの標準濃度で問題なく印刷できます。ですから、ハンドリングに慣れてくれば、期待通りの導入効果が出てくると思います。
三浦リーダー
機上現像の際の印刷条件がHP-Fとほとんど変わらなかったのは、良い意味で意外でした。これなら、刷り出しにかかる時間も変わりませんから、工程が短縮された分のメリットが活きてきますね。
ET-Sを活かした営業戦略は?
網野専務
環境保護印刷の一環としてお客さまにET-Sのメリットを広く認知いただくため、これから本格的にPR 活動を展開していきます。当面は、小ロット・短納期の印刷物や本機校正における「環境対応+スピード対応」が活用の中心になりますが、将来的には、FMスクリーンによる高精細印刷やヘキサクローム印刷にも活用範囲を広げていきたいと考えています。
環境対応を含めた今後の展開は?
網野専務
当社が目指すべき方向性は、「安心・安全」というキーワードに集約されると思います。つねにお客さまに信頼いただける品質を提供できるよう、ISOやプライバシーマークの認証取得、あるいは、DTPエキスパートの資格取得支援をはじめとする人材育成といった基盤整備に力を入れてきました。もちろん環境対応もその中で非常に重要な位置付けにあり、先日、クリオネマークの「ゴールドプラス」認証も取得しました。今後は、この基盤の上に、設備や技術力をいかに効果的に投入し、競争力アップにつなげていけるかが課題ですね。



