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今野印刷株式会社

 

見当精度、色安定性が大幅に向上し、「自信を持って納められる品質」に。

印刷部門の結束強まり、社員の意識改革も実現。

企業概要

今野印刷株式会社

仙台市に本社を持つ今野印刷株式会社は、2008年から水なし印刷を導入し、品質の安定化、作業環境の改善、そして利益率の向上と、大きな成果を挙げている。去る11月12日には、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社(以下 FFGS)・東レ株式会社との共催により「水なし印刷セミナー・工場見学会」を開催。橋浦社長が講師を務め、水なし印刷導入の経緯や具体的なメリットなどを紹介した。
(2014年11月取材)

会社名

今野印刷株式会社

代表者 代表取締役社長 橋浦隆一 氏
設立 明治41年創立
昭和24年12月14日 株式会社組織変更
従業員数 47名(平成26年5月現在)
所在地 仙台市若林区六丁の目西町2-10

[写真]池上 鎌三郎 氏

橋浦 隆一 氏
代表取締役社長


インタビュー

「ファンアウトの解消」が最大の動機に

今野印刷は、明治41年、「秀榮社」として創業以来、100年以上の歴史を持つ老舗印刷会社。現在は企画・制作・印刷を中心に、Web関連サービス、マーケティングリサーチのサポート、イベント・キャンペーンの企画なども手がけている。橋浦氏が社長に就任した2000年以降、CTPの導入(2000年)、MISの運用開始(2001年)と、工程のデジタル化を急ピッチで進め、2002年の新工場開設と同時に、新たな主力印刷機としてダブルデッキ式の両面8色機を導入し、生産設備の強化を図った。

水なし印刷の導入に着手したのは2007年。当時大きな課題となっていた「印刷品質の安定化」のため、さまざまな解決策を模索した末の決断だった。導入以前の状況について、橋浦社長はこう振り返る。

「とにかく、印刷現場の環境が非常に悪かった。温湿度管理もできておらず、整理整頓もなされていない状態。私は1999年にまったく別の業界から今野印刷に入ったので、印刷に関しては“素人”でしたが、そんな私から見ても、よいものを安定的に生産できる環境とは思えませんでした。また、印刷品質が個々のオペレーターのスキルに依存しているという問題もありました。腕のよいオペレーターが印刷すればよいものができますが、そうでなければ品質も落ちてしまう。こうした状況に対し、標準化に取り組む必要性を強く感じていたのです」

水なし印刷導入に至るまでにも、品質安定化のためのさまざまな対策を講じてきた。CIP3を導入し、PPFファイルによる情報伝達の仕組みを構築。加えて、分光測色による色管理を徹底。また、両面8色機においてはファンアウトの発生が課題になっていたため、CTP出力時に加減焼きを行なうことで対処。紙厚や絵柄面積などに基づく“加減焼きプロファイル”を作成し、効率性も高めた。さらに、2002年の新工場開設を機に、温湿度管理を徹底。作業環境の維持管理に対するオペレーターの意識向上も図った。

しかし、課題の全面的な解消には至らなかったという。とくに「水の管理」に関しては、オペレーター教育で標準化を目指すも思うように進まず、「“水でごまかす印刷”からなかなか脱却できなかった」(橋浦社長)。結果として、ブロッキングへの警戒も大きくなることも事実、パウダーの過剰噴霧、水のあげすぎによるファンアウトの発生にもつながっていた。

また、色に関しては、同社独自の色基準を運用していたが、クライアントの理解がなかなか得られないケースがあり、また、現場からも「より客観的な拠り所がほしい」という声が上がるようになってきた。このことは、後にジャパンカラー認証取得に取り組むきっかけとなる。

そして、依然として悩みの種となっていたのが、ファンアウトの問題。プロファイルを作成し、加減焼きで対応するものの、同じ用紙でも季節によって、あるいは絵柄によって伸びの度合いが変化するため、必ずしも計算通りに見当が合うとは限らない。 「お客さまが見たときに『見当がずれている』とわかるほどではないので、製品として納められるレベルのものはできるのですが、我々からすると“ど真ん中に入っていない”のがわかっているので、どこか後ろめたさのようなものを感じてしまう。やはり妥協やごまかしではなく、きちんと正確に見当を合ったものを堂々と提供したい、という思いがありました」(橋浦社長)

この「ファンアウトの解消」という課題は、同社が水なし印刷を導入する最大の動機となった。

「水なし化」には不安もあった

「見当精度の向上」をはじめとする品質改善への期待から、水なし印刷の検討を始めた同社だが、「実際の導入にあたっては、不安要素もいくつかあった」と橋浦社長は語る。具体的には、以下の点だ。

  1. 汚れが出やすいと言われている。
  2. よりシビアな温湿度管理が必要になるのではないか。
  3. 資材(版やインキ)のコストが高くなるのではないか。
  4. 印刷機を水なし仕様にすると、元に戻せない。
  5. 本当に見当精度が改善するか。
  6. 導入社数が少ない(2007年当時)。

これらの不安要素に関して、実際に導入した結果はどうだったか。橋浦社長は、以下のようにコメントしている。

  1. 水なし版が登場した当初、「汚れ」が大きな課題になったために、いまでも「水なしは汚れが出やすい」と言われることがあるようだが、実際に導入してみると、この不安はまったくの杞憂に過ぎなかった。
  2. 温湿度管理は確かにシビアである。ただ最近は、空調の技術も進んでおり、後付けの装置できめ細かく調整することも可能だ。当社は2002年の新工場建設の際に温湿度管理の徹底を図ったので、とくに問題にはならなかった。
  3. 版やインキなどの資材コストは、予想したほどは上がらなかった。
  4. 一度「水なし化」すると元に戻せないというのは、不安でもあるが、敢えて退路を断ち、新たな技術に取り組むことで、さまざまなメリットが得られることを実感した。
  5. 見当精度は明らかに向上する。まさに「一発見当」が水なし印刷の真骨頂だと、あらためて感じた。
  6. 導入社数が少ないのは、技術的に難しいなどの理由ではなく、不安要素がたくさんあるために導入に踏み切れる会社が少ない、というのが実情ではないだろうか。

また、関連する各メーカーのサポートも、不安を払拭する大きな力になったと橋浦社長は語る。
「ゴミ取りローラーをどうするか、印圧をどれぐらいにするか、インキの硬さは温度に応じてどう調整するか、着肉不良にはどう対応するか、などなど、テストの段階からいろいろな疑問・課題が出てきますが、それに対し、FFGSさん、東レさんをはじめ、印刷機メーカーさん、インキメーカーさんが皆、横の連携をとりながら親身にサポートしてくださった。これは非常に心強いものがありましたね」

自分たちの印刷に誇りを持てるようになった

2008年から本格的な活用を開始した水なし印刷。その導入効果について、橋浦社長は「高品質の印刷物を、自信をもってお客さまにお届けできるようになったことが最も大きい」と語る。

「以前は、“見た目には納品できる品質だが、自分たちの中では必ずしもOKとは言えない”というケースもありましたが、いまでは、営業も現場の者も、非常に誇りを持って印刷物をつくっています」(橋浦社長)

色の安定性も向上し、本刷りに入ってから刷り終わるまでの色の変動はほとんどなくなった。さらに、ファンアウトの問題がみごとに解消し、“一発見当”が実現。印刷オペレーターも「こんなに気持ちよく見当が合うのなら、もっと早く水なしを導入すればよかった」と話しているという。見当精度の向上に伴って、損紙も明らかに減っており、橋浦社長によれば「水ありに比べて15~20%程度削減できた」とのこと。その分、コストの削減も図れている。

もう一つ、印刷現場における大きなメリットとして橋浦社長が挙げるのは「水の管理から解放されたこと」。これも、コスト削減効果に結びついているという。 「水棒などのメンテナンスは、現場にとって大きな負担になっていましたが、そうした水に関わる作業がなくなることで、オペレーターは他の部分に気を配ることができるようになり、結果として、スキルアップのスピードも向上しています。メンテナンスにかかる人件費の削減だけでなく、教育コストの削減にもつながっているわけです」(橋浦社長)

水を使わないことは、乾燥性の向上というメリットももたらし、パウダーの使用量は約半分にまで減少しているという。

一方、品質やコストに加え、環境対応の面でも確かな導入効果が挙がっている。

「胆管がんの事件以降、有機溶剤に対する世間の目が一段と厳しくなり、社会全体の環境意識も高まっている中、溶剤の使用を大幅に減らせるという点で、水なし印刷のメリットは大きいと感じています。当社では、FSC認証紙や環境対応インキも使用していますので、これらも含めて、高レベルの環境配慮工場であることがアピールできるようになりました。また、バタフライマークを使用できるため、環境レポートやCSR関連の印刷物の受注で有利になるという営業的なメリットもあります」(橋浦社長)

また、同社が加入する日本WPA(日本水なし印刷協会)での情報交換をきっかけとして、カーボンオフセットに取り組むなど、水なし印刷導入以降、環境貢献活動の幅も広がっている。

作業負荷軽減、意識改革などの相乗効果で利益率アップ

あらためて、水なし印刷への移行を振り返り、「あまり苦労せずに進めることができた」と実感を語る橋浦社長。印刷機のコンディションが整っていれば、2日程度で移行できるという。では、トータルで見て、水なし印刷の導入は、会社としての利益にどれだけ寄与しているのか。

「私が社長に就任した2000年から水なし印刷を導入する2008年までと、それ以降の業績を比較すると、利益率が約2%上がっています。もちろん、これには他の要因も関わっていると思いますが、水なし化によって、現場での管理負荷が軽減でき、社員の意識改革が図れたことが大きく寄与しているのは間違いないでしょう」(橋浦社長)

印刷部門全体で、水なし印刷という新しい技術に取り組もうという結束が生まれ、品質に関しても、「確かな見当精度」と「ジャパンカラーを基準としたカラーマッチング」という武器を得て、自信を持ってクライアントに印刷物を提供できるようになった。さらに、印刷機の状態をつねに最良の状態に保つべく、個々のオペレーターが以前よりも機械メンテナンスに気を配るようになり、予防保全の徹底も図れた。こうしたさまざまな変革効果が、利益率アップという成果に結びついているのだろう。最後に、橋浦社長は、水なし印刷の導入を検討中の印刷会社に向けたアドバイスも含め、こう結んだ。

「水なし印刷に取り組むにあたり、一つ秘訣があるとすれば、それは“トップの決断”。これに尽きるでしょう。社長が決断さえすれば、水なし印刷は、簡単に実現します。その際、“退路を断って会社全体で取り組む”という意気込み、そして、最終的に何を為すのかというゴールを、社員に対して明確に示すことが大事になってくると思います」

関連情報

富士フイルムグループを統括する持株会社です。

富士フイルムグループのイメージングソリューション、インフォメーションソリューションをリードする事業会社。

富士フイルムグループのドキュメントソリューションをリードする事業会社。


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